50代マンガ編集者の悩み

皆さん、ごきげんよう。現役マンガ編集者の爆進堂です。

29年もマンガ編集者をやっていると支障をきたしてくる事があります。

それは若い世代のマンガ家さんと共通体験が少なくなってくると言う事です。

 私はいわゆる80年代から90年代の『ジャンプ黄金世代』のマンガ読みだったので、その頃のマンガは内容までよく覚えています。

 編集者に就職してからは可処分時間の減少もあって往時より読む量が減ってきています。

 マンガに関わる事は生業でもあるので、一般の人よりは読んでいる自負がありますが、だんだんと自分の趣味に偏っている自覚もあります。

 そんな中で『ドラゴンボール』の表現や『JOJO』の演出についての例えを持ち出しても、分かってもらえない若手マンガ家さんが出てきました。

 挙げ句には年長者が『ドラゴンボール』を読んでない事をさげすむ【ドラハラ】や、『JOJO』を読んでない事をなじる【JOJOハラ】なる言葉が出現する始末です。

 そうはなりたくない悩ましい…。

 編集者が初対面のマンガ家さんに根堀り葉堀り好きな映画や好きなアニメ、影響を受けたマンガを尋ねるのは共通言語を探っているのです。

打ち合わせ時の質問の意味

 やる気ある編集者なら、知らないマンガであれば必死になって次の打ち合わせまでに予習してきて臨みます。例え打ち合わせ中にそれを話す場面が無くてもです。

 共通体験や共通言語を大事にするのは、打ち合わせ中に「異世界の戦車戦」という言葉が出てきたら、古代ローマの馬が引く戦車みたいな戦車戦なのかタイガー戦車同士のような戦車戦なのかはっきり確認しないと分からない様な事が起こります。「ジョセフ・ジョースターがワムウ戦でやった戦車戦」や「ガルパンみたいな戦車戦」といえば一発で分かります。

 この例えが極端にせよ言葉の定義を確認しつつ、進めなければいけないのです。

 一口に「綺麗な女性キャラ」と言っても編集者にとっては「可愛いキャラ」分類に見えたりしますので、出来れば具体例を挙げて確認したいモノです。その例えが編集者とマンガ家さん双方に通じるキャラクターにしたいのです。

 ネームの形にしてから「コレジャナイ!」という悲劇を起こさないためにも、打ち合わせ時にマンガ家さんからも言葉の定義の確認をする様にしておきましょう。

 真の対処策は編集者が努めて流行した作品に目を通しておく事です。

 ついでですが理想の編集者は森羅万象について浅く広く知識を得ていて、あらゆるストーリーに精通している事です。

ああ、道は遠いなぁ…。

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この記事を書いた人

中小版元にいたりフリーだったりで、四半世紀をマンガ編集者で食っております。
「編集者はクリエイターの良き影のパートナー」がモットー。
プロデュースしたマンガ作品は有料配信で1億DL超え中!
マンガ家さんとのより良い未来を作るぞ~。

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